エントの特徴

ろう者にとって「聴く」とは?音が聴こえる事は安心なのか必要ないのか

 ろう者にとって音とはどんな存在なのかをろう者のOに尋ねました。今回は、そのことをOに書いてもらいました。

 ろう者の私は、常に補聴器を両耳に着けています。私の周りに補聴器を両耳着けている、人工内耳を着けている、両耳とも何も着けていない、片耳だけ補聴器を着けている人、それぞれいます。両耳補聴器を着ける、着けない、に対して聴者は疑問を持って私に聞いてきたので、それを話したいと思います。

両耳補聴器を着ける派の理由として、運転免許を持っているため時々運転をしています。そのときに踏み切りの音やクラクションの音、救急車の音やウインカーの音など聞こえるように補聴器を着けています。でも着けていても車の窓を閉めたままでは他人のクラクションの音や救急車の音はあまりはっきり聞こえないため、目でよく見るようにしています。運転だけではなく、人の声や子どもの泣き声、電車の音や音楽などを聞きたくて補聴器を着けています。着けることで少しは安心感があります。

補聴器を着けて、人の声は聞こえるけど、何を喋っているかはわからない。「あ」なのか「た」なのかもわからない。私にとっての補聴器は音だけの頼りになっています。

逆に両耳に補聴器を着けない、着けたくない人から聞いた話では、現在コロナやオミクロン株の感染者が増えているためマスクが必須になっていますよね。マスクと補聴器両方とも耳に着けると耳が痛くなってマスクだけでもいいや。と着けたくないのです。他にも雑音やハウリングの音、人の声など色んな音が入ってきてうるさくて集中ができないから補聴器を着けない。補聴器を着けると聴者に聞こえていると思われて普通に声で喋ってきて困るから着けない。補聴器を着けても着けなくても「ろう者」だけは変わらず着けても意味ないから着けない。普通に補聴器が高くて買う気にならない、買えない。補聴器を着けて電車や新幹線などに乗る時にみんなに耳にはめているもの何だろうとじーっと見られるのが嫌だから着けたくない。これは私もよくあります。補聴器をじーっと見られて気持ち悪いな、と思ったことあります。思っていても私は、補聴器を着けることで安心できる、音を聞きたいから着けています。

補聴器を着ける、着けたくない、着けないという理由が色々あります。

私は、補聴器を着けて良かったと思います。

着けるか着けないかは自分で決めることだと思っています。

聴者は補聴器を着けない人に対して、悪く思わないで欲しいです。補聴器を着けた方がいろんな音を知る必要があるから着けてほしいと思うかもしれませんが、着けるか着けないかは自分で決めることなのであまり責めないでほしいです。

もし、電車や新幹線、飛行機で手話を使って会話している人を見かけたら、その人の耳に補聴器を着けているか着けていないかを見て、着ける理由、着けていない理由をこの話を思い出してみてください。

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